はじめて映画のフライヤーをつくりました。
まつむらしんご監督の「恋とさよならとハワイ」
主演は犬と串ではおなじみの、綾乃彩
感謝です。
そんなわけで公開より先に、映像を見させてもらい、その感想をフライヤーにしました。
僕は最近、観た芝居、映画の感想をアイフォンにメモしたりしているんですが、おもしろい時は感想が長くなり、合わないと思った時も怒りを込めて感想が長くなります。(どっちでもない時が一番短い。)
「恋とさよならとハワイ」も感想が長くなりました。
なんなら感想の中に、詩のようなものが混ざりました。
とてもおもしろかったです。
大阪でさっそく賞を受賞し、いよいよ東京でも劇場公開ということで、宣伝もかねて感想をすこし。
主演の綾乃彩とは、僕は舞台で何度も共演しています。けれど、スクリーンの中の彼女は僕の知らない顔をしていました。なんだか勝手に嫉妬しました。
「綾乃彩ってこんな女なんだなあ」と思いました。(まあ役なんですけどね)(でも、その人って出るじゃないですか、演技に)
観ながら、「あ〜女ってそうだよね」と思い、「ああ、男って。。ああ。。」と思いました。僕は女性が描かれる時に「女ってすげえなあ」と思える作品が好きです。この映画はソレでした。
静かなんだけれど、とても音楽的な映画。
そっと小さなリズムを刻み続けているような。
その小さく刻まれるリズムと、風に飛んでいく綿毛を追うようなまなざし。
やさしさと甘やかすことは違う。そんなやさしいまなざし。
がたんごとん。がたんごとん。
僕は 勝手に
「各駅停車で、行って戻るだけの小旅行」ってサブタイトルを付けました。
そんなイメージからフライヤーを作りました。
人と人が「線」で繋がるとしたら、線と線になりきらない、淡い「点線」。
「点線」のもつ小さなリズムと、「点線」のもつ「移動」するイメージ。
つながったり、はなれたり、あっちにゆらゆら、こっちにゆらゆら、
この「点線」のゆくえは?
フライヤーを見て、想像を膨らませて映画館に足を運ぶのも面白いかもしれません。
もっとも、フライヤーのイメージを確認しに映画を観に行くわけではないですし、人によって感想も違うでしょうから、気張らず、空とか眺めながら映画館へ行ってみてください。
ネタバレにならないように気を遣ったら、すごく曖昧な感想になってしまった気がする。
僕も行きます。あとYeYeさんのライブに行ってみたい。CD買おう。
※以下、もう少しだけ感想を。
すごくわかりやすいネタバレは含みませんが、僕の作品への勝手な意訳もがっつりありますし、あらすじにもすこーし踏み込みます。「先入観なく作品を楽しみたい」という方は、とりあえず観に行ってから、ここからの文章を読まれることをおすすめします。いや、ご覧になったら、その鑑賞体験はあなただけのものですから、ここに戻って来る必要もないですね。
繰り返しときますね。
以下、ネタバレの危険
があります!!
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「恋とさよならとハワイ」を観た直後に僕が書いた例のアイフォンメモを見直すと、わりとそのまま載せてもいいかという気になったので、コピペします。あくまで自分用のメモだったので、生意気な感じや恥ずかしい感じもある気がしますが、見終わった直後のホットな感想として、手を入れずに載せます。
気づいたら、その映画の温度に入り込んでいる。気づいたら、その映画のリズムに乗っかっている。
音楽の影響も大きいけれど、どこか一定のリズムを小さく刻み続けているような映画。
はじめ、そのリズムからか、旅に出て電車の窓から風景を眺めるような、がたんごとんと揺られながら情景を見るような気持ちでみていた。
はじめ、その情景は窓のガラスの向こうの、僕の知らない街である。そこにいる女とその元カレも僕の知らない誰かである。
各駅停車。一駅、また一駅と止まりながら、電車はゆっくりと、一定のリズムを刻んで、はじまった街から離れていく。彼女のことを知り、彼女の周りの人々のことを知り、はじまった街との距離を思う。
いつのまにか知らなかったはずの女と、見知らぬ夜の公園にひとり。
そこから、電車は折り返す。
はじまった街へ帰っていく。
各駅停車で行って戻るだけの小旅行。
ハワイに行くはずだった日々が青空に溶けて、
各駅停車で行って戻るだけの小旅行。
彼女と一緒に、はじめいた場所に戻る頃、あの小さなリズムはなくなっている。気づけば、知らなかったはずの女と電車を降りて、彼女のすぐ後ろから景色を見ている。
はじまりと同じような光景があり、
はじまりとは少し、確かに違う光景を僕は見る。
そして、また小さなリズムと共に、彼女は電車に乗って、はじまった場所を去っていく。
ある女が各駅停車で行って戻るだけの小旅行。
がたんごとん
そんな感覚だ。
だって。
これ、観ないと、この感想よくわかんねえか。
あと、こんなメモもしていた。
この各駅停車の小旅行を経て、最後に元カレと一緒にいるシーンで、綾乃ちゃんが吐く言葉に、とても強いものがあった。達者な俳優さんはたくさん出ていたし、綾乃ちゃんはすごく器用な女優といったタイプではないと思うけれど、彼女の後半の言葉はとても強く胸を打った。この「強さ」を見るために、この旅が、この映画があると言っていいような言葉があった。勇気を出して、なにか踏み込む時の「強さ」に触れると泣きそうになる。
それは僕自身の恋愛体験にずいぶんと重なる部分があるからでもあるのだけれど。いや、もっとも、自身の体験をこの物語に重ねるのは僕だけではないだろう。
男の心情描写が少ないのもとても好感。けれど、ほとんど男の気持ちも伝わる。
生意気ですね。まあいいや。
やっぱり「強さ」がみたいなと思う。
あと、メモに書いてないけど、キャストがみんなすてきです。
すてきな作品にすこしでも関わらせていただき光栄です。
みなさま、暖かくなってきましたし、よかったら劇場へ!!